NG x SOM は奥が深い!

ニューラルガス(NG)の集合を上位のSOMでマップする NGxSOM を使った手書き文字認識の研究が,G君を中心に少しずつ前進している.この研究のエキサイティングなところは,単に認識率を上げるための改良をしていく研究スタイルではないということ.すなわちアドホックアルゴリズムの改良や処理の追加ではなく,手書き文字認識という課題を通じて NG x SOM自体を見つめなおしているということなのだ.

NGにはSOMのようなトポロジカルな構造はないと一般には言われる.ただし正確にはトポロジカルに類似した,抽象化された空間的構造を学習によって獲得している.このあたりの理論的な意味を,きちんと理解してNGを使っている人は,世界じゅうを見てもいないのではないかと思う.なぜなら,そのようなことを一切考えなくてもNGを使うのに何も不自由はないのだから.

ところがNG x SOMを使うことで,とたんに,「NGっていったい何なのだろう??」という疑問に直面する.というのも,NGが学習によって獲得したデータ分布の表現を,メタなデータとみなして上位のSOMで処理するからだ.「こっちのNGとあっちのNGの学習結果は,何が同じで何が違うのか?」という疑問に直面する.

答は,実は簡単ではない.でもおかげで,新しい問題のフレームワークをいくつも見つけることができた.新しいフレームワークの発見は,新しいアルゴリズムの発見以上に意義は大きい.なぜなら,多くの新しいアルゴリズム発見の母体になるからだ.