コロナから1年

コロナで研究室もリモート主体になってから1年経ちました。去年の4月は、新入生を迎えた直後にスタートダッシュでラボのオリエンテーションや導入教育をして、直後に大学が閉鎖になりました。

今年は新入生を迎え、万全の注意を払いつつオリエンテーションや導入教育を対面・遠隔の併用で進めています.

今年は去年よりも少しはゆっくりできるかな?と思っている矢先,福岡県も再び感染者数が急上昇.うーん,どうなるのでしょうね……

GPML勉強会

6月19日から,朝ゼロ勉強会が始まります。今回は "Gaussian Process for Machine Learning (GPML)" を有志で読みます.(いい本ですよ!)ラボ外からの参加も歓迎です(そのときは指導教員に話を通して参加してね).

古川研では時々「朝ゼロ勉強会」をすることがあります.これは1限が始まる前の1時間少々,朝の連続ドラマ小説のようにじっくり本を読む会です.もちろん希望者のみですが,むしろ学生の方から「朝ゼロやって!」とリクエストが出るくらいです.去年は情報幾何入門とフーリエ変換の本を読みました.楽しかったですよ!

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SOMでワイン解析

この週末はY君の論文執筆につきあってました.彼はワインのデータをSOMで解析しています.ワインの化学成分とアロマ(「おおお,スパイシーでベリーの香りの……」)をSOMに入れました.もちろん普通のSOMではなく,素敵な工夫を凝らしています.(正確にはその工夫が研究ポイントで,ワインデータはその題材なのですが).

できあがったワインマップ,みごとにブドウ品種ごとに分かれてくれました.カベルネ・ソーヴィニョンはマップのこちら,シャルドネはマップのこちら……という具合.化学成分とアロマの情報だけなのですが,見事に分かれてくれたので,ほおおおと感心してしまいました.しかも,フランスとカリフォルニアみたいに産地も棲み分けができて,「ここまでできるの?」という感じ.

まだ研究途中なのでお見せできないのが残念.早く公開できるといいな.

論文が出ました

D3の石橋君が筆頭著者の論文,"Hierarchical Tensor SOM Network for Multilevel–Multigroup Analysis" (階層的テンソルSOMによるマルチグループ・マルチレベル解析)が出版されました.(おめでとう!)

論文はこことか,こことかで読めます.

いろんなスポーツチームと,職場の部署とか,学校のクラスとかを分析する時,個人レベルの分析とグループレベルの分析を階層的にする必要があります.そのための解析手法の提案です.

この研究のポイントは「平均値だけではグループを理解できない」という点です.あるスポーツチームと別のスポーツチームを比較する時,それぞれの選手の平均値が同じだからって,チームがまったく同じなんてことはないわけです.チームを構成するメンバーのバラエティを確率分布とみなしてグループ同士の比較することで,それぞれのグループの違いを解析できますよ,という内容です.

SOM入門

自己組織化マップ入門」というドキュメントを公開しました.これは研究室内に入った新入生向けのドキュメントです.公開を考えていなかったので舌足らずのところもありますが,その代わり書籍にはあまり書かれていないことも書いています.

SOMの適切な日本語文献がほとんどないこともあって,学会発表等で古いSOMのプログラムを見かけることがあります.オンライン型SOMは今でも良く目にしますし,近傍半径をゼロまで落としてしまうのも見かけます(実用目的ならばバッチ型を使うべきですし,近傍半径はほどほどのところで縮小を停止しないといけません).

本当はまだまだ書き足りないのですが,このドキュメントが少しでも役に立ってもらえたらと思います.