九州国立博物館

今やっている「国宝・天神さま」を子どもたちと見てきました.予想以上に良い内容で,なかなか楽しかったです.この展覧会では,子どもの入場者にジャポニカ学習帳のパロディ(?),「天神さま学習帳」がもらえます.これがすばらしい出来で,感動しました.中身はノートではなく,この展示の子供向けの解説になっています.そして,実物の展示にも「学習帳の何ページを見てね」と書いてあり,両方を見比べることで,難しい展示も子どもが楽しんで学べるようになっています.

しかし,感動したのは単に「楽しく学びましょう」という点だけではなく,それが「目のつけどころ」を上手に教えていたからです.古い掛け軸とか,絵巻物とか,大人だって眺めて「へーえ,こんなのね」と言うだけですよね.でも,絵をよーく見ると,実はいろんなおもしろいものが隠されているのだということを,この学習帳は教えてくれます.たとえば京都を追われる菅原道真を見送る人々の顔は,よーく見ると,泣いている人たちと,ニヤニヤ笑っている人に分かれるとか,道真の死後,天神さまになって祟りをするシーンでは,さまざまなおそろしいことが描かれているとか,です.

「目のつけどころ」が一度分かると,他の展示ではどうなっているだろうかと,さらに興味が増します.それに対して,大人向けの解説,「本巻物は江戸時代初期のもので......」という知識は,実はそれだけでなんだか分かった気にさせてしまい,それ以上見ようと言う気持ちをなくしてしまうことがあります(もちろん,そういった基本的情報は不可欠なのだけれども,その意味を理解する理解力が伴っていることが前提で).まあそんなわけで,大人の私も子どもの学習帳を借りて,一緒に楽しみました.

九州国立博物館の展示は,以前の絵巻物展のときもこのように工夫が凝らしてあり,とても好感が持てました.わがやは近所なので,用事がなくてもよく遊びに行っては,1階の「あじっぱ」(あじあのひろば)で遊んで帰ってきます.みなさんも,一度どうぞ.