問題を解くことよりも問題を作ること

そしてわかっこと.それは「『変分下限という目的関数最大化問題を解けばよい 』 という問題設定そのものが間違っていた」ということ.これは大きな発見だ!

今,知りたいのは,データXが観測された時の,写像Yや潜在変数 Z などの事後分布 p(Y,Z|X) .これが知りたい.でも直接は知ることができない.そこで推定事後分布を q(Y,Z) とする.そして q(Y,Z) と p(Y,Z) の間の距離(これは知ることができる)をできるだけ小さくなるように q(Y,Z) をいろいろ変えていく.q をどんな風に変えれば距離最小の q を求めることができるか.これが今までの問題設定.

ところが!q と p の距離最小になる点は,実は知りたい答えではなかったのだ!!(より正確に言えば,解の多重性を考慮した距離を測らなくてはいけないのに,それを考慮していなかったということ)つまり問題の解き方が間違っていたのではなく,問題設定自体が間違っていたということなのだ!これではいくら解き方の工夫をしても解けないはずだ!

「解けないことがわかった」というすっきり感の正体は,こういうことなのだ.大切なのは問題を解くことではなく,正しい問題を作ることだったのだ.