数学ガール

「こんなきれいな法則に従う,<なにか>があったらいいなあ.うれしいなあ.じゃあ,その<なにか>を×××と呼ぶことにしようっと.そして<こんなきれいな法則>からどんな美しいものが出てくるか見てみよう」.数学ってそんなものだよね.

甘利先生の情報幾何もそんな風に生まれたと講義で言ってた.ニューラルネットなどの学習構造を表現するものとして,「こんな規則に従うものがあったら美しくていいだろうな」と.でも「その規則でなければならない」という理由は「美しいから」以上は,ない.それを国際会議で言ったら,「<美しい>それだけで十分だ」と言われたって.

ベクトルの定義はシンプルで美しい.これを公理として,公理が秩序と言う構造を作る.その秩序と構造を線形代数と呼ぶ.「公理によって与えられる制約が構造を生み出している」......これは「数学ガール」のミルカさんのセリフ.

このbolgを外から見に来ている人は,「そりゃそうじゃん.なにをいまさら」と言う人も多いんじゃないかなーと思うけど,こうした感覚を学生に伝えるのはとてもむずかしい.でも伝えられたらと思う.
結城浩氏の「数学ガール」は,そういう意味でぜひ読んでほしい本.コミック版もあるけど,コミック版は肝心の「数学」の部分がほとんどカットされてるので,ここは書籍版を.

"Matrices and Linear Algebra" の本を読んで,「数学ガール」と同じくらい私はわくわくどきどきしたのだけれども,「数学はお勉強」が頭から抜けないと,そんな風に感じるのがむずかしいのかなあ.