AIBOは魂を持つか?

禅の公案を解説することほど愚かなことはないのだと知りつつも,学生のみんなも読んでいることだし,少し話を続けます.......

ある修行中の僧が,師匠の趙州に「犬は仏性を持ちますか?」と.趙州は「無!」とだけ答えたっていう,有名な話.この「無」は,「ある・なし」という意味での「無い」という意味ではなく,それを超越した「無」というものであるらしい.どう超越しているかは,それこそ禅を組んで悟るしかない!でも何年もかかるのだそうだ.

でも,「自分が(あるいは誰か人間が)プログラムを組んだロボットが仏性(でもいいし,わかりにくければ魂かなんかでももいい)を持つことはあるか?」という問いかけとすると,とても大事な問題であることに行き着く.自分でプログラムした以上,その動作アルゴリズムのすべては理解可能なはず.だから「仏性はある」と答えたら,エンジニアとして不可知なものがそこにあることを認めてしまうことになる.さりとて「仏性はない」と答えたら,つまり「単なる機械人形です」と答えたら,では何のためのロボット開発なの?研究なの?ということになってしまう.

「えー,そんな簡単な話じゃなくって,どっちも違うんじゃ(あるいん,どっちも同じなんじゃ)ないの?」って思ってもらえればありがたい.でも,「どっちも違う」ってどう違うのさ.あるいは「どっちも正しいんじゃない?」って言ったって,どう両方とも正しいのさ.そんな曖昧な逃げの文句じゃなくて,どんぴしゃ正面から受け止められないの?

すんごい哲学的な話に思えるけれど,僕は,実はとても大事な点をずばっと問題提起していると思うのだな......って,この話はまたいつか.