同じ世界に生きている

大事なことは,手を伸ばせば届くところにあるんだってことなんだって.

先生だから,高校時代から違っていたなんて思わないこと!

数学(に限らないけれど)こちらから手を伸ばそうと思ったとき初めて美しさがわかる.そして,自分の実力とか,学力とかはあんまり関係なくて,手を伸ばそうと思うかどうかがずっと大事.

実力がないとどうなるかというと......美しい世界があるらしいってことだけはわかって,でもそこにはどうにも到達できない,なんとも切ない気持ちに襲われる.それは本当に悲しい.でも,ありがたいことに,実力があると見える人たちだって,ほんのちょっと先に進んだところでやっぱり挫折して,同じように美しさと悲しみを同時に味わっている.

つまりね,実力がないと手前の方で悲しい.実力があっても,ちょっと進んだところで悲しい.でもどっちも美しい世界があるってことがわかってちょっとうれしい(だけど,どのみち手が届かないことがわかって猛烈に悲しい).わからない人は,実力がないというよりも,真剣に手を伸ばそうとしていないだけ.

だから「数学ガール」を読むときは,紙と鉛筆を用意して,手を動かしながら読む.そうすればずっと作中の人物に近づける.