種山ヶ原

種山ヶ原に行ってきました.雲が地面を走って,子供たちは「これ,雲?それとも霧?」と尋ねました.雲が過ぎるとさっと青空が広がって,また雲がやってきます.

物見山のあたりから見渡すと,どこまでも続く準平原.たしかに高い山があるわけでもなく,かといって平野でもなく,それが地平線のかなたまで続きます.むかしは今と違って雑木も少なく,草地がどこまでも広がっていたとか.風がざあっと吹くと,草々がいっせいに伏したり起きたり,また伏したり起きたり.まるで踊っているかのよう.

これが「髪毛 風吹けば 鹿踊り」だったんですね.「うわあ,すごい,草たちがみんな祭りの踊りをやっている!山も(髪毛振らして)踊っている!」って.なんだかもうめちゃくちゃ嬉しくなって,はねたりとんだりしたくなるような,叫びたくなるような感じ.

......これを自分ひとりで発見できたらすごかったんでしょうけど,現地で手に入れた鳥山敏子さんの本が手がかりです.「詩とメンタルスケッチの違い」について,この「高原」を題材に述べてたくだりがあって,9割はそのおかげ.こっそり小さい声で言うけれどね.でも,ほとんどが助けてもらったにせよ,「ホウ!」と自分も叫びたくなる感じを共有できたのは本当の話.

草稿段階では「叫び」という題だったと後から知った.わかってしまうと「そうだよなあ,うれしくて叫びたくなるよなあ,自然と声が出ちゃうよなあ」って思うけれど,それを知らずに草稿の題を見ていたら,きっとなんのことだかわからなかっただろうなあ.