Brain-IS Workshop開催中

Brain-IS Workshop が昨日・今日の二日間,本キャンパスにて開催中.私は冒頭の挨拶を兼ねて「"Brain-IS研究" というスタイル創出」というタイトルでショートスピーチ.

Brain-ISの意味するところの説明は,おおむね従来どおり.それから脳・神経を真似て工学応用という,21世紀COEのコンセプトを示した上で,「これはもう半世紀もやっていること.ぜんぜん新しくない.半世紀かけて壁が破れていないなら,別のやり方をしないと」と.

問題はそこから.コンセプトとしてのBrain-ISについては総論賛成ってとことしても,方法論がないと,単に空中を漂うだけのお題目,理想,いやもっとたちの悪い妄想になってしまいかねない.だから方法論の提示がとても重要と思い,あれこれ考えてきた.それを話した.
第1の方法論は「創ることで知る」ということ.このフレーズ自体は新しくないものの,ではBrain-IS研究の中でそれはどのように実践されると良いかを,できるだけ具体的に話そうと試みた.(「試みた」という言い方をしているのは,自分として満足できる話のレベルまで持っていけなかったから).アンティキティラ島の機械を例に挙げたことは成功だったけれども.

第2の方法論は理論研究の役割とその重要性.ここはもう完全に舌足らずで,うまく説明し切れなかった.しかしこの部分を人々に理解してもらうことはとても重要なので,今後の課題.ガラス張りの時計仕掛けにすること,ビルディングブロック化すること,ブロックのパーツをきちんと作ること.

第3の方法論は,研究の価値の置き方.Brain-ISはさまざまな分野にまたがり,またアウトプットの位置づけもそれぞれ異なる.異なる価値基準に基づく研究の間をどうつなぐか.そこで「可翻訳性」をもってBrain-IS研究としての価値基準とする.

基本的に,こういう理念的,お題目的な話をすることは好きではない.はっきり言えば嫌い.今回は私の後に理研の方々のすばらしい発表が続いただけに(すなわち,私よりずっと自分の研究理念を持ち,良い研究をしている人たちが後に続いただけに),なんだか私は空論を弄ぶ輩になってしまった気がしたのだった.でもまあ,懇親会での反応は悪くなかったので,まずはほっとした.

5月には京都で同じ話をしないといけない.うーん,むずかしいが,がんばろう.